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2012年11月18日

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

あいにくの雨、おまけに今日から寒くなるという天気予報で自然塾の9回目は開催が危ぶまれたのですが、行き先が沢スギ&洞スギ・・・初めてという方もいて、資料館等建物もあるので寒さと雨はしのげるという事で実施しました。入善町杉沢の沢スギは以前、フォローアップ講座で利用しましたが、久しぶりの場所です。今日は森林インストラクターの近堂さんにお願いして案内していただきました。

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

今年、新種のサクラが沢スギ内で発見されたとのことで、春には新聞紙上を賑わしましたが、このサクラがそうです。二本あるそうですが、その内の一本の前には小学生が書いた解説板が付けてあります。沢スギ内の木道には他にも子ども達が書いた解説板が何カ所も設置してあります。“入善乙女キクザクラ”と命名されたこのサクラは花びらがとても多いサクラだそうで、春の花の時期に見たいものですね。

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

山からの伏流水が沢スギ内で湧出しており、夏は冷たく、冬はそれほど冷たくない、きれいな水がこんこんと湧き出ています。ビジターセンターの近くには飲用にカップを置いてある湧水地もありました。その為、暖地帯の植物や山地帯の植物も多く生長しており、写真はその中の一種でシロダモです。実の付いているのは珍しいという事で写真に収めました。

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

日本海側のスギの特徴である「伏条更新」の様子がしっかり確認できるスギです。横に横に曲がって地面に接地した部分から発根し、そこから幹として上伸成長していきます。幹でも枝でも接地面から発根するのは雪国に生きているスギの特徴です。

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

写真愛好家垂涎の場所でもある、湧水池の前で記念写真です。今日は参加者も少なく寂しかったのですが、かえってアットホームな雰囲気で和気あいあいと、自然を満喫できました。

途中で昼食を取り、洞スギへ出発です!ここは初めて行く場所でもあり、期待に胸躍ります!

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

洞スギ群落に到着です。写真の様に大きな石を抱え込んでスギが成長していきます。数百年の長い年月の間にはいろんな厳しい環境もあったことと思いますが、立派に耐えて生きています。

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

実はここまで長い年月生きながらえて来られたのは、大きな石があったればこそとの事!石の上にはもちろん土は無く、他の樹木は成長する事すらできない中、スギはわずかな土を見つけて着床し、成長し、次第にこの大きな石を抱え込む様に根を下ろし、土中深くまで根を張り巡らしてしっかりと、この地で生きていく土台を固めました。奥山の厳しい気象条件では石の上から根を下ろしたスギ以外は、土砂崩れが発生すると土砂と一緒に流出してしまいますが、石を抱え込むようにして成長したスギは、小さな土砂崩壊にはまったく影響されることなく生き延びました。しかし、根を張り巡らされた石は長い年月の間に風化していきます。風化した石は細かく砕け、スギの株元からポロポロと落ちこぼれて小さな土砂となって流れてしまいます。しかし、根をしっかり張り巡らしたスギは根元が空洞になっても倒れることなく生き続けます。このようにしてできた、スギの巨木で根元から空洞化したスギ(洞穴ができたスギ)を「洞スギ」とよびます。

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

大きな石を抱え込んだ洞スギは、荒波に揉まれてとても痛々しい形状になっているところもありますが、写真の様に樹形はとてもきれいです。・・・真っ直ぐに伸びる木というのが語源といわれる、スギですが、紆余曲折があったにせよ、樹形をみると
今はとても平穏な日々を過ごしているようで、いたわりの言葉を掛けてやりたいほどですね。

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

洞スギ群を見た後、人工林のスギや屋敷林を見ても極めて小さく見えます。形状だけでなく、これまで生きてきた生き様も同様にぬくぬくと育ってきているよに見えるくらい、洞スギ群には畏敬の念が強く感じられます。富山にこれだけのすばらしいスギの巨木群があったことは驚きでもあり、是非多くの人に見てもらいたいと思いました。生きる事に弱気になった時などはこの地を訪れると洞スギ達に元気をもらえそうです。

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

近堂さんも解説していますが、彼の後には大きな石の上に成長している若いスギがあります。このスギなどは数百年も経過した頃には、今日見た立派な洞スギの仲間入りする、後継樹だと思います。このスギが立派な洞スギに成長するまで、いやそれ以降もこの洞スギ群が確かに残るように環境の保全をしっかり後世につないでいくことの必要性を痛感しました。

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

何度も訪れた方も今日初めてお目にかかった方も洞スギ達に敬意を表して参加者で記念の一枚!

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

さっきから写真をご覧いただいてお判りかと思いますが、積雪がありました。木道には10cm程度積もったままでした。冬にはこの地に3m前後の積雪があるそうです。これから洞スギ達は.来年の6月頃まで長い冬の静寂の中で過ごすことになりますが、人々が訪れないこれからの時期が彼らにはパラダイスなのかも知れません。(極端な低温にならない限り・・・)

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

洞スギ群から下る道沿いに、龍石なる大石があるという事で立ち寄りました。写真はその石の由来などを書いた解説板です。小さくて恐縮ですが、一読いただいて下の写真をご覧ください。

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

ご覧のように黒いウェーブがあり、龍のうねりみたいに見えますね!日本のそして日本人の自然崇拝と畏敬の念、他の国々ではおよそ考えられないような気持ちがみてとれます。

自然塾9回目(沢スギ&洞スギ)

すぐ横の石には白いウェーブが入った石があり、上の写真の黒龍とこの白龍がつがいのように見えました。

今日は寒い中参加いただいた皆様にはお疲れ様でした。だけど気分的にはとても充実した一日だったと思います。来年は良い時期に多くの皆さんにご参加いただいて、再訪したい場所でした。自然塾の次年度企画に取り入れようと思います。




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この記事へのコメント
新品は発売します
Posted by 2012新品は発売します at 2012年11月18日 23:46
 
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